話しているのは一体誰?英語のまま要点をつかむリスニング力を鍛えよう

アルクの英語学習月刊誌『ENGLISH JOURNAL』(EJ)には、Mystery Speakers(通称ミススピ)という大人気の長寿コーナーがあります。毎月、何か身近なものが英語で「自分語り」をしてくれます。それを聞き、一体、話しているのは誰かを当てるコーナーです。この記事では、その内容を少しだけご紹介。皆さんも、挑戦してみませんか?

CD付 ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 2018年 11月号
 

Mystery Speakersとは

その名の通り、名前を名乗らないミステリアスな話し手の自己紹介を英語で聞き、それが 一体誰なのかを当てるクイズ です。注目すべきは、 話し手はいつも、あなたの身のまわりにある、身近な「もの」 だということ!
音声スクリプトは掲載されていませんから、話をよく聞き、一体、誰が話しているのかを考えてみましょう。ヒントとなる言葉は、話のさまざまなところに散りばめられています。 要点をしっかり聞き取る力 を鍛えましょう。

EJ11月号では、この「特別版」と題して、いつもとは少し違ったミススピに 取り組む ことができます。
なんと、ものだけでなく、食べ物や動物、そしてさらには歴史上の偉人までもが、英語で自己紹介を始めるのです!
百聞は一見に如かず、まずは挑戦してみましょう。

1. もの

2. 食べ物

3. 動物

4. 偉人

答えは…

いかがでしたか? いずれも短くまとまった自己紹介で、ヒントが満載でしたが、 すぐに 終わってしまうため、難しく感じた方もいたかもしれません。 答えと、それにたどり着くためのヒントを、神田外語大学専任講師の柴原智幸先生の解説で確認しましょう。

1. の答え:電車

I’m long and have lots of wheels. Sometimes I carry things and sometimes I transport people from place to place . I can only go where my track leads me.

僕は細長くて、車輪がたくさんあるんだ。時には物を、時には人をあちこちに運ぶよ。線路が通っているところにしか行くことができないけどね。

【解説】1文目を聞いて、長いそろばんのような、不可思議な物体が想像されます。その上にものが載ったり、人が乗ったりというので、「何らかの輸送手段だな」とわかります。そこで track (線路)という言葉が来て、「わかった!」という感じです。

ちなみに 、日本語では 駅の「~番線」のことを「~番ホーム」と言いますが、このホームはplatform(乗降口)から来たカタカナ語 です。

2. の答え:トマト

Sometimes I’m big and sometimes I’m mini . I make great sauces for pasta and pizza. I’m usually red with a cute green cap. People in some countries fight over how I’m pronounced.

大きかったり、ミニだったり。パスタやピザのソースにするにはぴったりよ。たいてい赤くて、かわいい緑の帽子をかぶってる。私の発音の仕方を巡ってけんかする国もあるんだって。

【解説】bigと来て、 minibig の反対語なら、普通は small なのにな。それに、パスタやピザ?一体、何でしょうか。その後のred、green cap ではっきりします。

green cap と聞いて、「緑のフタ」をイメージしてしまうとわかりにくいですが、本来cap は「帽子」ですので、「一番てっぺんにあるもの」といった意味合いです。この場合は「へた」を帽子に例えているのですね。

ちなみに 本来「へた」を意味する英語は stalk などです。 なお、アメリカ英語では[t?me??o?](カタカナだと「トメイトゥ」のような音)と発音しますが、イギリス英語では[t?m??t??](「トマートゥ」のような音)となります。

3. の答え:カメ

I’m not the fastest, but sometimes I’ll find a way to win the race. Some of my brothers and sisters live for many years. When I get scared, I have a place to hide on my back.

いちばん速いってわけじゃないんだけれどね、時にはレースに勝つ方法も知ってるよ。何年も生きている兄弟姉妹もいるんだ。怖くなったら隠れる場所を背負っているよ。

【解説】 not the fastest ということは、「チーター」などではない ようです。でも win the race することもある? しかも live for many years ということは、一体……? 悩ましい答えは、have a place to hide on my back で一気にわかります。昔話で有名な、あの動物です。

ちなみに 、彼の話す brothers and sisters は、「自分たちの仲間」といった意味合いで使われています。

4. の答え:エイブラハム・リンカーン

To the world, I’m known for my tall hat and beard. But to Americans, I’m known as the president who ended the Civil War and freed the slaves.

世界ではシルクハットとあごひげで有名だが、アメリカ人には、私は南北戦争を終わらせ、奴隷を解放した大統領として知られている。

【解説】tall hat、beard では、正直なところ、さっぱりわかりません。Americans でグッと情報が絞り込まれ、president、 the Civil War、slaves と聞いて すぐに ピンときます。

tall hat は、ここではいわゆる「シルクハット」を指します。また、 普通に civil war といえば「内戦、内乱」という意味ですが、大文字で固有名詞として扱う場合、アメリカが2つに分かれて戦った「南北戦争」 を指します。その激戦地だったゲティスバーグでの、リンカーンの名演説で有名ですね。

2人のおしゃべりも聞いてみよう

EJ11月号ではこの他にも、2人の語り手がお互いの長所や短所を語り合う会話形式のミススピなどを掲載しています。

あの偉人たちのまさかのコラボレーションも実現。 聞いていて、思わず笑ってしまうかもしれませんが、本人たちはいたってマジメ。 お互いの共通点や相違点、そして長所と短所に関する表現がたくさん出てきますので、日常会話でも応用して使うことができます。

プレゼントクイズも!

特集の最後では、プレゼントが当たるクイズも 実施 しています。

もの、食べ物、動物、偉人がそれぞれ、ちょっと長めに自己紹介をしてくれます。じっくり聞いて、答えを考えてみましょう。 専用の応募フォームからご応募いただくと、全問正解者の中から抽選でプレゼントが当たるチャンスも! 詳細はEJ11月号をご確認ください。

CD付 ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 2018年 11月号
 

構成・文:江頭 茉里
ENGLISH JOURNAL編集部員。夢は自分が編集した本ばっかりの本棚を作ること。 熱しやすく、冷めにくい。好きなもの・趣味が多すぎるのが悩み。

編集:末次志帆

『ENGLISH JOURNAL BOOK 2』発売。テーマは「テクノロジー」

現在、ChatGPTをはじめとする生成AIが驚異的な成長を見せていますが、EJは、PCの黎明れいめい期からITの隆盛期まで、その進化を伝えてきました。EJに掲載されたパイオニアたちの言葉を通して、テクノロジーの歴史と現在、そして、未来に目を向けましょう。

日本人インタビューにはメディアアーティストの落合陽一さんが登場し、デジタルの時代に生きる英語学習者にメッセージを届けます。伝説の作家カート・ヴォネガットのスピーチ(柴田元幸訳)、ノーベル生理学・医学賞受賞のカタリン・カリコ、そして、『GRIT グリット やり抜く力』のアンジェラ・ダックワースとインタビューも充実。どうぞお聴き逃しなく!

【特集】PC、IT、そして、ChatGPT・・・パイオニアたちの英語で見聞する、テクノロジーの現在・過去・未来
【国境なきニッポン人】落合陽一(メディアアーティスト)
【スピーチ&インタビュー】カート・ヴォネガット(作家/柴田元幸訳)、ケヴィン・ケリー(『WIRED』創刊編集長、未来学者)、レイ・カーツワイル(発明家、思想家、未来学者)、ジミー・ウェールズ(ウィキペディア創設者)、アンジェラ・ダックワース(心理学者、大学教授)、【エッセイ】佐藤良明

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